札幌・勤医協中央病院 内科で診る脳卒中/中央病院の利点いかして~勤医協中央病院 脳血管診療部
「脳卒中の患者さんは脳神経外科で診療するのが一般的と思われていますが、北海道以外の都府県や世界では、必ずしも脳神経外科が担当しているわけではありません。まず神経内科医が診察し、手術が必要な方のみ脳外科で診るといった分担をしているところが少なくありません」と、脳血管診療部の河野龍平医師は説明します。
悪化・再発予防へ
「脳卒中」にはいくつかの種類があり、脳の血管がつまる「脳梗塞」、脳の血管が破れて出血する「脳出血」「くも膜下出血」に大きく分けられます。脳卒中の7~8割は、基本的に手術の必要性がない脳梗塞です。脳梗塞になった部分は基本的に元には戻らないため、ほとんどの脳梗塞患者はリハビリで症状を改善することが治療の中心になります。 できるだけ早くリハビリを始め、悪化・再発予防をします。脳出血の場合は、手術が必要のない軽症者、または、手術が施せないほどの重症者は脳血管診療部が担います。中央病院ではこれまでに20人ほどが治療を行っています。くも膜下出血の患者は、すぐに脳外科に紹介します。
内科で血栓溶解療法
河野医師は2002年に北海道勤医協へ入職後、循環器内科医として勤務。2013年から広島県の脳神経センター大田記念病院で脳卒中の診断・治療を学びました。これによって、脳卒中の患者を受け入れることが可能になりました。また、脳梗塞発症から4時間半以内の患者に「血栓溶解療法」ができるようになりました。詰まった血管が開通し、症状が劇的に改善することが期待されます。道内では脳神経外科以外で施行したのは当院が初めてで、これまでに4人を治療しています。
他科と連携して
中央病院へ定期的に通院していた80代の女性が、受診後に倒れているところを病院内で発見されました。すぐに検査し、脳梗塞と判明。血栓溶解療法を施行しました。翌日には血栓が溶解され、その後のリハビリによって順調に症状が改善しています。通常、症状改善には数週間から数ヵ月かかりますが、この治療によって数10分後に麻痺がなくなることもあります。また、女性は心不全、不整脈なども抱えていましたが、他科と連携して同時に治療を進めています。河野医師は、「中央病院は複数の病気を同時に治療できることが強みです。リハビリ技師や看護師の技術向上、体制強化などを図りながら、脳卒中の専門医をとり、より多くの患者さんを受け入れたい。救急搬送が増えるとともに脳卒中の患者さんも増えているので、大事な役割を担っていくと思います」と話し、片方の手足が動かしにくい、顔が歪む、ろれつが回らないといった症状が「突然」あらわれたときは、すぐに診察を受けるよう呼びかけています。
掲載日:2015年8月13日/更新日:2015年8月13日