民医連の医師研修方針 Ver.1.9 ~民医連の初期研修から、Transitional Year研修までを展望して~

民医連の医師研修方針 Ver.1.9
~民医連の初期研修から、Transitional Year研修までを展望して~
はじめに

本文書は、民医連の医師研修の到達や日本の医師研修システムの変遷を振り返り、貧困・格差の進展や超高齢社会に対応して国民が求める医師を養成するための方針を議論して、2020年に予定されている初期研修制度の大幅な見直しに向けて研修プログラムの整備を促進すること、あわせて全日本民医連総会方針の「医療介護活動の2つの柱」の実践(注1)、健康の社会的決定要因(SDH)(注2)やいわゆる社会的処方(注3)・アドボカシー(注4)などの取り組みを各研修プログラムに反映する議論などを促進するために作成しました。

具体的な取り組み・先進事例はGood Practiceとしてまとめ、共有するためにリンク先なども使いやすいように積み重ねていく予定です。

現在、研修医自身はキャリアプランや新専門医制度に目が向きがちですが、この間のHPH(Health Promoting Hospitals and Health Services)(注5)に関連する活動やWHOにおける新しいIPCHS(integrated people-centred health services)(注6)の枠組みや、NCD(非感染性疾患)(注7)、PHC(primary health care)(注8)、UHC(universal health coverage)(注9)に関する議論などをみても、現代の世界で求められる医師の資質・能力(コンピテンシー)と民医連の目指す医師像とでは多くの面で共通しているとも言えます。私たちは、民医連でこそ世界の最先端レベルで医師のコンピテンシー(注10)を研修できるという自負と目標を持って研修プログラムを整備していきたいと考えます。

一方で、2004年からの初期研修制度(注11)の必修化以降、民医連らしさという点での研修内容や研修の質の低下(停滞)があるのではという議論もあります。研修病院のレベルで「少し上」のクラスで満足している可能性はないでしょうか?私たち民医連の医師が何を大切にし、どのような集団を目指すのか、誰に引き継ぐのかという議論と並行して、医師研修の議論を深め、実践していきたいと考えます。

本文書は、全日本民医連研修委員会を中心に議論し、2019年6月に行われる全日本民医連研修委員長・プログラム責任者会議などで議論し、その後も各論部分は定期的にバージョンアップしていきます。

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