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2025年度 全日本民医連 新入医師、新専攻医オリエンテーションを開催

4月11日(金)、12日(土)の2日間、全日本民医連主催の2025年度2025年度新入医師オリエンテーション、および新専攻医・後期研修医オリエンテーションがTOC有明コンベンションホール(東京)で開催しました。

 

新入医師オリエンテーションは昨年に引き続き集合形式で、参加者は今年入職した研修医170人に職員を加え、計269人でした。

 

一方、今回初めての開催となった新専攻医・後期研修医オリエンテーションには、後期研修医67人、医師研修に関わる事務職員の24人が参加しました。こちらも集合形式での実施となりました。

 

新たな研修生活に前向きに取り組んでいこうと参加者の意欲や期待感が伝わってくる2日間でした。各オリエンテーションを紹介します。

 

新入医師オリエンテーション──研修への決意も新たに

 

1日目の4月11日(金)、新入医師オリエンテーションが開催されました。

まず、全日本民医連会長の増田剛医師による歓迎あいさつがあり、入職への祝辞とともに、アントニオ・グテーレス国連事務総長の言葉を引きながら、経済的・社会的格差が健康や命の格差につながっており、医療の果たすべき社会的な役割を認識してほしいと説きました。

 

 

続いて、全日本民医連医師部部長の山田秀樹医師によるミニ講演。2月に制作されたパンフレット「まやかしの『医師偏在』~医師不足の解消を~」(80/80パンフ)に沿って、絶対的医師不足の現状が深刻であると指摘されました(「幸せな医師人生をこれから歩むために医師増員を進めよう~80/80パンフを紐解く」【リンク】参照パンフレット)。

 

この後、自己紹介など班別の交流をはさみ、群星沖縄臨床研修センター センター長の徳田安春医師による記念講演が行われました。講演で徳田医師は、目の前の患者さんの健康状態だけでなく、その背景にある社会構造や歴史にも目を向けることの大切を説きました

 

 

昼食、記念撮影の後、午後の最初のセッションでは3人の専攻医が登壇し、それぞれの経験に基づいたアドバイスを新入医師たちに贈りました。

 

次に「こんな研修をしたい」をテーマに、ワールドカフェが実施されました。ワールドカフェとはくつろいだ雰囲気で行う対話形式の話し合いで、途中、メンバーを交代しながらテーマを掘り下げていきます。全日本民医連医師研修委員の飯島研史医師による進行で、活気あふれる話し合いが展開されました。

 

休憩の後は、愛媛生協病院家庭医療科の水本潤希医師からのミニレクチャー。知的刺激に満ちた臨床現場のおもしろさを味わってほしいと、適切に診断するための実践的なアドバイスや興味深いいくつかの事例が紹介されました。

 

この後、班別に研修宣言づくりに取り組み、「半年後の自分への手紙」を各自作成しました。

 

最後に登壇した全日本民医連医師研修委員長の大島民旗医師から、今日の出会いを大切にし、たった一人で研修を始める新入医師もしっかりと支えていきたいとの励ましの言葉があり、閉会となりました。

 

●参加者の感想

「全国にこんなたくさん仲間がいるのがすごく嬉しくで、これからお互いに切磋琢磨できたらいいなと思いました。印象に残ったのは徳田先生の講演で、私たちは戦争の被害者であり加害者でもあることから、医師としての使命をどう果たすべきかということを考えさせられました」(福島生協病院 戸来莉子さん)

 

「民医連という団体にこれだけ多くの同期がいるとは驚きで、他県の皆さんのお話を新鮮な気持ちで聞かせてもらいました。診断や臨床推論に少し不安を感じていたので、水本先生のレクチャーはとても参考になり、また、楽しみながら取り組めばいいというアドバイスで気持ちが楽になりました」(岡山共立病院 松下尚さん)

 

「本日オリエンテーションに参加して、今まで学んだことを臨床の場で生かしていこうと決意を新たにしました。徳田先生のお話をお伺いして、世界情勢や歴史を知ることが目の前の患者さんに対することにつながっていくのだと感じ、自分からもっと学んでいこうと思いました」(下越病院 町田知彦さん)

 

新専攻医・後期研修医オリエンテーション──初の開催も好評裏に終了

 

翌4月12日(金)には、初の新専攻医・後期研修医オリエンテーションが開催されました。

 

冒頭のプログラムは、前日と同じく全日本民医連・増田剛会長の歓迎あいさつ。増田医師は、世界情勢と研修は地続きの問題であり、研修を通じて技能や知識を深めるだけでなく、平和と人権を重視する民医連の役割についても理解を深めてほしいと述べました。

 

班別の自己紹介をはさんで、栃木・生協ふたば診療所の千嶋巌医師による記念講演がありました(「専門医を目指すあなたへ~医師のプロフェッショナリズム×民医連を考えよう」)。

 

 

次に、2人の先輩医師がリモートで参加し、自身の体験を交えて後期研修を進める上でのアドバイスなどを語りました。

 

昼食・記念撮影を終え、午後の部はワールドカフェに充てられました。「こんな専門医に私はなる!」をテーマに、大島民旗・医師研修委員長による進行の下、途中メンバーをランダムに入れ替えながら意見を交換し合いました。各班で話し合いの結果をまとめて模造紙に記入し、計5班が発表しました。さまざまな意見が出ましたが、多くの班が医師としてのスキルを磨くこと、コミュニケーションを大切にすること、ワークライフバランスを重視すること、といった点を挙げていました。

 

最後に、原田真吾・医師研修委員会副委員長より閉会のあいさつがあり、「何のために」「誰のために」を常に考えながら、貧困や社会的孤立など困難な状況にいる人に寄り添う医療を実践してほしい、そして民医連としても専門研修とその先の医師としての人生が実り多いものになるようサポートしていくと述べ、初の新専門医向けオリエンテーションは閉幕しました。

 

●参加者の感想

「子どもを連れての参加で皆さんにご迷惑をおかけするのではと心配しましたが、気軽に声をかけていただき居心地よく過ごせました。出産、育児でキャリアが中断することへの不安も、今日の先輩医師のお話などでフレキシブルに対応してもらえることを知り、払拭することができました」(埼玉協同病院 居城有葉さん)

 

「参加者との横のつながりができ、仲間意識も高まって、これから頑張っていこうという意欲がわいてきました。身近な立ち位置にいる先輩方のアドバイスはとても参考になり、すぐに研修の場で生かせると感じました」(城北病院 邵博文さん)

 

「とても楽しかったです。頼りがいのある同期が多いこともわかり、今後もこのつながりを生かしていきたいです。千嶋先生のご講演では名言がたくさん紹介され、面白かったです。また、地域とのつながりをつくり広げていくというやり方は民医連らしく、ワクワクさせられました」(吉田病院 鳥井沙南さん)

掲載日:2025年5月20日/更新日:2025年5月20日

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