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大阪泉南アスベスト国賠訴訟|最高裁 国の責任を認める


2014年10月9日、最高裁判所第1小法廷は、大阪・泉南アスベスト国賠訴訟について、国の規制権限不行使の違法を認め、原告勝訴の判決を言い渡しました。
国は、最高裁判決を受け止め、直ちに全面解決の政治決断を下すべきです。


全日本民医連はアスベスト被害の原点ともいわれる大阪・泉南地域のアスベスト被害に向き合ってきました。
2006年5月の『民医連医療』に掲載された東大阪生協病院の水嶋潔医師の記事を紹介しておきます。

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 民医連は、2012年春に『民医連医師のためのアスベスト教本』(CD)を発行し、日常診療の現場で診断や治療の向上をはかる取り組みをおこなっています。現在教本CDについては改訂作業をおこなっており、民医連外にも公開できるように作業をしています。民医連内の方で教本の必要な方は、イコリスまでお問い合わせ下さい。
 以下は、教本CDに関連した民医連新聞の記事です。

民医連新聞2012年5月7日/1523号
 
 

『民医連医師のための アスベスト教本』CDを配布

アスベスト問題はこれから日常の診療や患者救済に活用を

 全日本民医連はこのたび『民医連医師のための すべてがわかる! アスベスト教本』と題したCDを作り、約四〇〇〇枚を各県連、事業所、医師に配布します。CDは五部構成で多くの症例を鮮明な画像で収録。具体的な救済制度や関連団体も紹介しており、実際の診断・診療や患者さんの救済に役立つ内容です。(丸山聡子記者)

図 全日本民医連は、全国でアスベストによる被害者の掘り起こしと救済、拡散防止と予防措置の拡充を求めて活動してきました。二〇〇八~二〇〇九年にかけて、「アスベスト多施設調査」を実施。一九県連二九病院・八八五例の肺がん症例のレントゲン・CT画像を再読影しました。一二・八%に胸膜プラークの所見があり、アスベストの影響だとわかりました。
 「アスベスト多施設調査研究班」メンバーの山下義仁医師(鹿児島・国分生協病院)は、「肺がん患者のなかに一定数のアスベスト被害者がいるとの仮説でしたが、実際に一割を超えていたことは驚きでした。私自身、専門の先生と読影会を行い、検証作業に参加する中で、おおいに学びました。『働く者の医療機関』である民医連の医師たちに役立ててほしいと考え、作成しました」と話しています。

発症ピークと震災の影響

 国際的には、一九六四年に「アスベストが肺がん、中皮腫を発生させる」とする警告が「勧告」として出され、七二年にはWHO(世界保健機関)やILO(国際労働機関)が石綿の発がん性を警告していました。にもかかわらず、日本では、五〇年代半ば~七〇年代初頭までの高度経済成長期、八〇年代半ばから九〇年代前半までにアスベストが大量に輸入され、使用されました。日本政府がすべてのアスベストの全面使用禁止を決めたのは〇六年。EUの決定の七年後でした。対応は遅れています()。
 アスベストばく露による悪性中皮腫の発症までの潜伏期間は二五~五〇年です。今後、国内で使用量が多かった時期の潜伏期間が終わるため、新たな悪性中皮腫の発症が増加することは確実です(グラフ)。
 被災地の状況も深刻です。一九九五年の阪神・淡路大震災では、がれき撤去や解体作業への対策が遅れ、アスベストばく露が広がりました。すでに二人の解体業者が中皮腫で死亡。東日本大震災の被災地でも、アスベストを吹き付けた天井がむき出しになっていたり、アスベスト含有建材が粉々になっているなかで、防じんマスクをせずに作業している様子が多く報告されています。全日本民医連は「有害物質の環境測定とハザードマップの作成」「防護具の支給」「安全衛生教育の徹底」などを菅首相(当時)に要請しています(一一年四月)。しかし何の手立てもとられていません。
 山下医師は、「日常診療でこれまで以上にアスベストの被害者を診ることになります。『労働と生活の場から疾病を診る』という民医連の原点に立ち、胸膜プラークの読影法に習熟し、患者の職歴をきちんと把握するなどの姿勢が重要です」と強調します。

グラフ

表

日常診療に役立つ内容

 胸膜プラークの読影症例も豊富に収録しています。すべて民医連の事業所で経験し、専門医が集団で議論・検討したものです。レントゲンやCTの画像は、拡大しても画質が落ちず、鮮明に見られます。個別に学べるほか、医局や地協ごとでの学習会などで積極的に活用してもらえる内容です。
 アスベストによる被害が確認された患者と家族への救済制度も詳しく紹介。労働者に対する「労災保険補償・公務災害などへの補償」、死後五年を経過した遺族に対する「特別遺族給付金」など、それぞれの申請方法や給付内容などは、医師はもちろん、看護師や放射線技師、事務職員も把握するべき大事な情報です。
 山下医師が診察した患者でも労災認定取得のとりくみが始まっています。肺がんで胸膜プラークを認めた男性には一〇年以上の大工の経験があったものの、当時の職場が認めず、職歴の証明に工夫が必要となっています。一方、生前に家族に解剖の承諾を得て、死後の解剖でアスベスト被害が確認できたため、遺族が補償を受けられるよう準備をすすめているケースもあります。CDには、石綿小体計測検査ができる労災病院やアスベスト問題にとりくむ団体の連絡先も収録しています。
 山下医師は「これをもとに目の前の患者さんに何ができるか、多職種で議論し、行動する足がかりにしてほしい」と話しています。

掲載日:2014年10月10日/更新日:2014年10月10日

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